水草図鑑 陰性水草

キレイに陰性水草を育てる方法や注意点、活着やトリミングの仕方などを解説します【水草図鑑番外編】

2022年3月6日

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キレイに陰性水草を育てる方法や注意点、活着やトリミングの仕方などを解説します【水草図鑑番外編】

2022年3月6日

こんにちは!

MizukusaNewbie的水草図鑑。

今回は番外編といたしましてミクロソリウムやボルビティス・ヒュディロッティなどの陰性水草をキレイに元気よく育成するためのポイントや活着方法などについて解説します。

初心者向けでかんたんと言われることが多い陰性水草ですが、要点を押さえておかないと育成不良に陥ったり最悪枯れてしまうこともあります。

自然観あふれる姿が魅力の陰性水草をレイアウトに取り入れて、素敵なネイチャーアクアリウムを楽しみましょう。

陰性水草の育成ポイントや注意点

ミクロソリウム、アヌビアス・ナナやボルビティス・ヒュディロッティなどの陰性水草全般に共通する育成ポイントや注意点は以下のとおりです。

  • 適度なCO2の添加
  • 照明は水草用を平均的な時間照射する
  • 水温は低めに設定
  • 栄養は極少量にして決して与え過ぎない
  • 葉よりも茎や根を育てる意識
  • 常にキレイな水が当たるような水流

それぞれについてもう少し掘り下げて見ていきましょう。

CO2は添加した方が断然キレイに育つ

陰性水草といえども植物には違いないので光合成をするのにCO2が必要になります。

その必要量が陽性水草に比べて少ないだけなのです。

熱帯魚などの生体がいれば呼吸をしてCO2を出しますし、定期的な水換えを行っていればその際にも供給されています。

ただ育成するだけならばこれで十分かもしれませんが、よりキレイにより早く育てるにはCO2の添加がマストです。

カウンターを使って添加量を調整する

添加量は30cmキューブ水槽であれば3秒に1滴、60cm水槽であれば1秒に1滴もあれば十分でしょう。

有るか無しかで葉のツヤや色などが全然違ってきますし、ただでさえ成長の遅い陰性水草にはどれだけでも早く成長してもらいたいのが本音です。

照明は水草育成用を使用して平均的な時間で照射

陰性水草というと照明が暗くても育つようなイメージがありますが適度な光量は必要です。

いわゆる一般的な水草育成用のLED照明を平均的な7~8時間も照射すれば十分でしょう。

光量が高過ぎたり照射時間が長過ぎると葉焼けを起こして茶色く枯れてしまう場合があります。

またその条件では成長の遅い陰性水草はコケの被害にも遭いやすくなります。

陽性水草と一緒にレイアウトしている場合で高光量かつ長めの照射時間が必要な場合はなるべく水槽上部を避けて用いるなどの工夫が必要かもしれません。

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水温は23℃から24℃がベスト

水槽用クールファンで水温上昇を防ぐ

水草水槽では25℃や26℃くらいに水温を設定することが多いです。

温度固定の水槽用ヒーターなどはそれくらいの温度設定であったりもします。

それには次のような理由があると思われます。

  • バクテリアが活動するのに適した水温が25℃くらい
  • 白点病の原因となるウオノセンカイチュウなど、熱帯魚に寄生する虫の活動が鈍るのが26℃以上
  • 大体の熱帯魚や水草が育成できる水温の平均値

これらの理由から大体25℃から26℃に設定してあるようです。

基本的に陰性水草は23℃から24℃と少し低めの温度を好みます。

もちろん25℃以上でも決して育たないわけではありませんので、植栽している水草が陽性中心の場合でしたらそちらに適した水温に設定すればよいでしょう。

水槽用ヒーターの設置例

その逆もまた然りです。

全体に植わっている水草の比重を見ながら設定することをおすすめします。

注意しなければならないのは夏場などで水温が30℃くらいの高温になってしまう時です。

高温では陽性陰性関わらずどの水草も調子を落としてしまいますが、特にミクロソリウムに関しては”シダ病”という病気になるリスクが高まります。

シダ病について詳しくは後述します。

冬場はヒーターを使って加温、夏場は水槽用ファンやクーラーを使って水温を一定に保ちましょう。

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栄養はとにかく与え過ぎない様にする

入れすぎ注意!!

栄養に関しては極貧栄養素で育てます。

もしレイアウト内の水草が陰性中心であるならば、液肥でカリウムと微量元素を極々僅かな量を添加しましょう。

熱帯魚などの生体がいる環境でしたらリンはとくに不要ですが、もし極端に飼育数が少ない場合は窒素は必要になるかもしれません。

いずれにせよ本当に少しで大丈夫です。

私もつい元気よく育てようとメーカーの規定量を添加していたことがありました。

コケも全然出ないし過多ではないと思いながら添加していましたが一向に調子が上がりません。

試しに規定量の3分の1ほどの量にしたところ光合成も活発になり黄色っぽくなって育成不良だった部分も元気になって緑色を取り戻しました。

元気よく気泡をつけるボルビティス・ヒュディロッティ

また葉に穴が空いたり白っぽくなって枯れ落ちてしまう症状で困っていたブセファランドラも改善しました。

育成が上手く行かない場合は栄養云々よりも照明やその他の要因を優先して改善しましょう。

葉を育てるよりも茎と根を育てることが大事

アヌビアスナナの根元のゴミをスポイトで吹き飛ばす

葉をキレイに育てるには茎と根をしっかりと育てることを意識します。

茎が太くキレイな緑色をして、根がしっかりと展開している陰性水草はどんどんと新芽を出してくれるようになります。

先ほども言いましたが茎をグラグラしないようにしっかりと留めること。

根元に糞などの汚れが溜まらないように水換えの際にしっかりと掃除をすること。

新しいキレイな水と栄養が葉と茎に当たるように重なった葉を適宜間引いてあげることが大切です。

そうすることによって茎に光が当たってさらなる成長が期待できます。

適度な水流を確保してキレイな水が当たるようにする

ぐるっと一周するような水流をイメージ

陽性水草よりも陰性水草は水が滞ると調子を崩す傾向が強いように感じます。

あまりにも強い水流はコケの原因にはなりますが、水槽内のすべての場所に少なからず流れが発生するよう工夫しましょう。

それには水槽内のレイアウトを水流がきちんと確保できるような組み方にするのも一手です。

また外部式フィルターをしっかり水槽サイズに適合するものにしたり、ワンサイズ上のものを使用するといった改善方法もあります。

その際にはこのようなパイプを使い分けるなどの工夫も大切です。

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前述のように葉が重ならないように適宜間引いてあげるのも水流の確保という点ではとても有用です。

また栄養吸収能力が低いためか水自体もよりキレイなものを要求します。

しっかりとした水換えやろ過フィルターの強化などで常に清潔な状態を保ちたいものです。

それがミクロソリウムに特に発生しやすい”シダ病”の抑止にも繋がります。

シダ病とは

ミクロソリウムによく発生するシダ系水草特有の病気で葉先が透明な茶色になり、やがて枯れていきます。

厄介なのは伝染するということ。

ただ単に枯れている場合と見分けるのが難しいですが、疑いのある場合は葉を根元からカットしたほうが無難です。

その際接触した可能性のある葉も同じく切ってしまいましょう。

活着方法やトリミングについて

おすすめの活着方法はビニールタイ

こちらは自然に流木に活着したミクロソリウム

ミクロソリウムやアヌビアスナナ、ボルビティスなどは岩や流木にモスコットンやテグス、ビニールタイなどを使って活着させます。

これらは活着力の強い水草なのでどれを使用しても基本問題ありませんが、前景などの目立つところなら最終的に溶けてなくなるモスコットンなどを、後景などに用いる場合はテグスやビニールタイを使えば良いでしょう。

一番簡単なのはやはりビニールタイを使った活着です。

しっかり且つ優しく留めましょう

画像のように葉と葉の間を通すようにして茎を抑え留めるだけ。

この際、茎がグラグラしないようにしっかりと留めることが肝心です。

ここが不安定だとこの後の成長が鈍ってしまいます。

かといって強くし過ぎて茎を傷付けてしまわないように注意しましょう。

陰性水草は茎と根を丈夫に育てることが葉の元気な成長に直結します。

活着させるのが少量であったり、後から活着させる場合で岩や流木などの素材が取り出せないときは専用の接着剤を使用することも出来ます。

白い部分がはみ出た接着剤

布やキッチンペーパーでよく根元の水を吸い取ります。

この接着剤は水分に反応して凝固しますので、出来るだけ水気を取っておくといざ素材に接着する際に上手くいきます。

また極僅かな量を塗布しするようにします。

固まると透明から白く変色しますのであまり多いとはみ出た部分が目立ってしまいます。

これらの点を注意すればとても便利な活着方法といえます。

トリミングの仕方

良く育ったミクロソリウムsp.ニードルリーフがモデル

葉が混んできたり、古くなった葉が茶色く枯れてきたらトリミングをします。

葉が重なったままだと光が当たらずキレイな水が当たらないなどの要因から生育不良やシダ病を発症します。

また茶色く枯れた葉はそこから余分な窒素やリンを発生させてコケの原因にもなりますので早めに取り除きましょう。

なるべく茎に近い根元にハサミを入れます。

少しトリミングし過ぎたかなと思うくらいがちょうど良いでしょう。

茎と根がしっかりと育っていればどんどんと新芽を出してくれます。

最終的にはこれくらいスッキリとさせました。

比較的新しい葉のみを残しています。

新しい葉は透明で透き通るような瑞々しさがあるのですぐに見分けがつきます。

今回は取り出し可能な素材でしたので楽にトリミングができました。

このようにすべての素材を取り出し可能にしたお手入れかんたん水槽の作り方はこちらをご覧ください。

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株分け方法について

よく茂った”ミクロソリウム・ウェンディロフ”

植物の根茎を分けて植え移すことを”株分け”と言います。

この方法で1本の水草を何本にも増やしていくことができます。

ミクロソリウムやボルビティスなどはこの株分けを用います。

方法はいたって簡単。

新株にも古株にも数枚の葉が残るようにして茎を切ってもとの素材から剥がすだけ。

茎をなるべく痛めないように切れ味のよい水草用のハサミを使いましょう。

茎の状態がとても重要な陰性水草ですので一度位置を決めたら思いきってカットします。

新しい株がこちら。

この新しい株を再び岩などの素材に括り付けて株分け終了です。

ミクロソリウム独特の生態として古い葉に新株が生えてくる場合があります。

古い葉をよく観察していると先の方から少しづつ芽が出てくるのを見つけることが出来ます。

出てからまだ日が浅い新芽

触れるとポロっと取れますので、見た目的に気になるならばある程度の大きさになったら取ってしまって再び素材に活着させることで株分けすることが出来ます。

こちらはミクロソリウム・ウェンディロフの古株に付いたわざと大きく育てた新芽。

すでに葉先がギザギザになるウェンディロフの特徴が出ています。

これくらい大きければ十分に新株としての役割を果たしてくれます。

とても面白いミクロソリウムの特徴です。

最後に

ミクロソリウムやボルビティス、アヌビアスナナなどの陰性水草はその草姿や深い色味などからネイチャーアクアリウムにおいて自然感を出すのにとても適した水草です。

岩や流木に活着した陰性水草はずっと見ていても飽きの来ない奥ゆかしさを感じます。

CO2添加なしの肥料要らずといった情報が先行して育成が容易なイメージを持ちがちですが、水のキレイさや水流など水草水槽の基本が出来ていないとしっかりと育てることが出来ないある意味難しい水草でもあります。

私もこれらの水草と向き合うことでそういった基本の大切さを改めて教わりました。

今いちミクロソリウムやボルビティスが上手く育たない、またこれからそういった水草に挑戦してみたいとお思いの方の参考になれば幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございました!

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