MizukusaNewbie的水草図鑑。
夏に花を咲かせる水生植物の王様といえば何と言ってもスイレンでしょう。
水面に浮かぶ美しく可憐な花は観るものを魅了してやみません。
比較的手軽に育成出来るためビオトープにもピッタリ。
今回はそんなスイレンを美しく元気に育てる方法やコツについて解説します。
CONTENTS
育成データの一例
育成容器 | トロ舟 |
日照 | 直射日光を半日程度 |
底土 | 赤玉土(小粒) |
肥料 | カミハタ・スティック肥料 |
水換え | 雨水他 |
植栽時期 | 4月前半 |
スイレンについて
スイレンとはスイレン属に属する浮葉植物です。
地下茎から出た葉が水面に浮かび、花も同様に水面に浮かぶように咲きます。
白や赤、黄色やピンクといった色、花の大きさや形、花びらの数の違いなど無数の種類が存在します。
スイレンには大きく分けて温帯性と熱帯性のものがありますが、姫スイレンは温帯性スイレンの仲間です。
ココがポイント
温帯性スイレンは耐寒性がありますので寒さが厳しい日本の気候でも越冬させることが容易です。
それに反して熱帯性スイレンに10℃を下回るような水温には耐えることが出来ません。
よって冬場は室内に入れたり、休眠株にさせたりといった手間がかかります。
最初は温帯性睡蓮をチョイスするのが無難でしょう。
育成容器は睡蓮鉢かトロ舟がグッド
スイレンの育成には水面からの距離を加減しやすい高さの低い容器が適しています。
いかにもビオトープといった感じで様々な植物を混栽させたり、メダカなどの生体をある程度の数飼育したいのであればトロ舟(プラ箱)を使用するのがおススメ。
安価で丈夫、ホームセンターでもネットでもどこでも手に入れることが容易と、非常に使い勝手の良い容器です。
プラスチック然とした見た目が気になるのであれば、木の枠を作ったりレンガで囲ったりなどのひと工夫を加えることでお洒落な外観にすることも可能です。
いわゆる睡蓮鉢はスイレン自体を単純に楽しみたい時や、かんたんなビオトープを作る際に有用です。
睡蓮鉢は素材によって2種類あり、陶器製を選べば雰囲気は抜群、プラスチックなどの樹脂製は軽くて使い勝手が良いという利点があります。
もちろんプラスチック製にも色や形に様々なバリエーションがあって十分におしゃれに仕上げることが出来ます。
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日照時間はとても重要
スイレンを上手く育てるには日光をよく当ててあげることが重要です。
具体的には半日以上直射日光が当たる場所が最適です。
そこまで当たらなくても十分に葉も展開しますし花芽もつけますが、もしどうしても育成状態が悪いと感じたら何よりも先に日光の当たり具合から見直しましょう。
肥料等の見直しはその後にまわします。
底土は泥状のものが最適
スイレンの育成には泥状の土が最も適しています。
具体的には荒木田土や赤玉土を練ったものを使うとよいでしょう。
ただし細かい粒のものであれば練らずにそのまま使用しても全く問題ありません。
逆に泥状にしてしまうと何かの拍子に舞ってしまい、水が濁ることがあるので私はそのまま使うことが多いです。
因みに便利なのは水生植物専用の土です。
赤玉土をベースに何種類かの土と肥料分が配合されています。
肥料は固形のものを使用する
スイレンのように地下茎を持つ植物は、土からの栄養補給がとても.重要です。
スティック状や粒状の固形タイプの肥料を土に埋設してあげると良いでしょう。
液肥は効果があまり期待できません。
植栽時はもちろん、使用方法を参考にしながら適宜追肥することでキレイで元気に育てることが出来ます。
ここで大切なのは可愛さ余って過度に肥料を与えないことです。
肥料過多はかえって育成不良を起こす肥料やけの原因になる場合があります。
また一度埋めた肥料は後々取り出すことが難しくなります。
用法用量はキチンと守るようにしましょう。
植栽について
他の多くの水生植物と同じように3~4月が植え付けの最適時期になります。
お住まいの地域にもよりますが、焦らず気候が十分に暖かくなってから植えましょう。
水生植物専用の土や赤玉土などに、脇芽が地上にしっかりと出るように根株を埋めます。
水面から表土までは5~10cmくらいになるように調節します。
姫スイレンの成長記録
植栽直後
今回は新たに植栽した温帯性姫スイレンの成長を見ていきます。
直後ですのでまだ小さい葉が少し出ているだけです。
この葉が徐々に水面に伸びていくのと同時に根茎から新しい芽も出始めます。
根茎の状態や水面からの距離にも依りますが、早ければ1~2週間で水面に到達する葉も。
一度植栽したらなるべく根茎はそっとしておきましょう。
植栽から2週間後
同時期に植えた睡蓮鉢のスイレンの様子。
葉が数枚水面に浮かんでいます。
こうなり始めるとどんどんと新しい葉が根元から水面に向けて伸び始めます。
環境にもよりますが、姫スイレンの葉は概してあまり大きくならない為どのような容器を使う場合にもおススメです。
右の普通サイズのスイレンの葉と比べると一目瞭然。
ビオトープや睡蓮鉢にはやはり姫スイレンがマッチするでしょう。
花自体も同様に小ぶりなので全体的に品よく収まります。
植栽から2ヵ月半後
葉がこれでもかというほど密集してきました。
本来であるなら根元に日光を当てるために古い葉から間引いていくと良いのですが、ここはあえてビオトープということでわりとほったらかしにしています。
ただし古くなって枯れた葉は水を汚すので小まめに取り除いた方が無難です。
そろそろ花芽が出ているのではとかき分けて覗いてみると…。
可愛らしい花芽を発見。
これが徐々に伸びてきて水面から顔を出し、花を咲かせます。
ちなみに私の住んでいる地域は寒冷地の為に6月でも朝晩はかなり涼しいです。
比較的温暖な地域にお住まいでしたらもっと早く花芽が出てくるかもしれません。
さらに一週間後
花芽が完全に水面か突出し、その日のうちに花を咲かせました。
夕方になり日光が当たらなくなると…
再びつぼみに戻ります。
日光が当たっては咲き、夕方につぼみに戻るを繰り返しながら比較的長い期間楽しむことが出来ます。
最後に
スイレンにはまさしく水生植物の王様と呼ぶにふさわしい何とも言えない美しさと品があります。
睡蓮鉢でスイレンだけを育てるのもよし、ビオトープで他の植物と混裁させて自然感を楽しむのもよし。
隠れ家や水温の上昇を防いでくれる相棒としてメダカとの相性もばっちりです。
何よりも育て方が容易なことが初心者からベテランまで広く愛される理由でしょう。
色も含めて沢山の種類がありますので是非お気に入りのスイレンを見つけて楽しんでみてください。
最後までご覧いただきありがとうございました!