こんにちは!MizukusaNewbieです。
シリーズでお送りしています、”最低限これだけ知っていればとりあえずは大丈夫!かんたん水草育成論”、第3回目の今回は”肥料”についてです。
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最低限これだけは知っておきたい初心者向け水草育成論①〜照明編〜
これからシリーズでお送りする”最低限これだけ知っていればとりあえず大丈夫!かんたん水草育成論”。第1回目は照明編です。
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最低限これだけは知っておきたい初心者向け水草育成論②〜水質・水温編〜
シリーズでお送りしています”最低限これだけ知っていればとりあえず大丈夫!かんたん水草育成論”。第2回目は水編です。
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CONTENTS
肥料は水草の成長に無くてはならないもの
とはいっても重要度でいうなら光とco2、水質や水温の方が上と言っても良いかもしれません。
何故ならば栄養が無くても上記の要素が十分ならばそこそこ水草は育ってしまうからです。
ただし元気に美しく、鮮やかに水草を育てようと思えばやはり栄養が必要です。
ですので肥料はあくまでも補佐的なものだと思って添加したほうが後々失敗に繋がらないでしょう。
ちなみにビオトープはあまり肥料の添加を必要としません。
それはなぜかと言うと自然のろ過サイクルによる供給プラス、雨によっても供給がなされているからです。
詳しくは後述しますが、水道水にはほとんど含まれていない水草の成長にとって重要な要素であるカリウムが雨水には含まれています。
ですので栄養の要求度が高い睡蓮などの一部の水生植物を除き、添加をしなくても自然にちゃんと育つことが出来るのです。
水道水に含まれていないということは、人為的に供給することが必要です。
足りないものを補う。
それくらいの感覚で肥料の添加を行いましょう。
植物の三大栄養素プラス微量元素
窒素
水草に限らずあらゆる植物の成長に特に大切なものを三大栄養素と呼びます。
その筆頭が窒素(Nitrogen)です。
水草の成長に最も重要な栄養素で、葉や茎を大きくしたり、葉の色を濃くしたりします。
葉の色が薄い、葉が小さいなどの症状がみられる場合は窒素が足りていないかもしれません。
栄養系、吸着系によって含有量は違えど初期のソイルからは窒素が供給されます。
ですが時間の経過とともに徐々に枯渇していきます。
その他に熱帯魚の餌や枯れた水草からも窒素は供給されます。
また、熱帯魚などの生体が出すアンモニアが最終的に分解されたもの=アンモニア態窒素や硝酸態窒素も重要な窒素の供給源です。
その為生体の数が多い水槽では自然と供給量が多くなり、窒素の添加はあまり必要ではないでしょう。
逆に生体の数が少ない水槽や陽性水草がかなり繁茂しているような水槽では窒素が足りなくなる場合もあるので添加が必要になってきます。
注意点としては水槽内で過剰になるとアオミドロなどの発生に繋がってしまうことでがあります。
水草の調子をよく観察して、少しずつ添加をしながら様子をみることで水槽内が大惨事になることを防ぐことが出来ます。
リン
リン(Phosphorus)は植物の開花・結実・発芽に寄与する成分で、植物の細胞を構成します。
リンは生体の餌に多く含まれているため給餌によって自然と供給され、水草水槽では添加をする必要が少ない栄養素です。
むしろリンの過剰は黒髭ゴケの発生に繋がる為、餌の与え過ぎにはくれぐれも注意します。
よく言われるのは2~3分で食べきれる量を給餌するというものですが、私自身はそれでも若干与え過ぎだと思います。
魚類が調子を崩す大きな原因として餌のあげ過ぎがかなり影響していることは実感としてあります。
水草の為にも、生体の為にも餌の量にはくれぐれも気を付けたいところです。
総合肥料の中にはリンも含んでいるものがありますが、生体を飼育するのであれば基本的には含まれていないものを購入した方が良いでしょう。
カリウム
カリウム(Kalium)は植物の根の発育に大いに必要な栄養素です。
植物はやはり根を健康に育てることが重要ですのでしっかりと施肥をします。
ちなみに水草水槽のなかで最も不足しがちな栄養素がカリウムです。
何故なら他の栄養素と違って添加する以外に供給源が無いからです。
窒素がソイルや生体から、リンが餌などから供給されることは前述しましたが、カリウムは水道水にもほとんど含まれていないために肥料に頼るしかないのです。
その為カリウム単体で施肥できる固形肥料や液体肥料が数多く販売されています。
ただしやはり与え過ぎは様々な副作用をもたらします。
カリウムの贅沢吸収なる言葉もあるくらいで、あればあるだけ取り込んでしまい他の栄養素の吸収を阻害したり、水草がかえって調子を崩したりします。
やはり水草の様子を見ながら少しずつ与えることが重要です。
微量元素
上記の3大栄養素の他に必要なのが微量元素です。
例えば鉄、カルシウム、マグネシウム、ホウ素、マンガン等々です。
ただしこれらは単体でというよりかは、液肥の中にセットとして含まれていることが多いです。
何故なら3大栄養素ほどの絶対量が必要ではないからです。
というわけで総合肥料もしくは微量元素と謳った肥料を添加すれば良いでしょう。
絶対量は要りませんが必要ないわけではないことには注意が必要です。
ちなみに水道水にもこれらの要素は多少含まれています。
また、レイアウト用の石の素材によってはこれらのミネラルが多く溶け出すものもあります。
この中で強いて単体で添加をしなければならない可能性があるのは鉄です。
鉄には赤系の水草の色をより赤くしてくれる作用があります。
もし赤系の水草を使用しているにも関わらず、あまり赤の発色が良くない場合は鉄を追肥してみましょう。
固形肥料と液体肥料について
固形肥料のメリット・デメリット
水草用の肥料には固形肥料と液体肥料があります。
固形肥料は文字通り肥料を固形に成型してあるもので、水槽立ち上げ時にソイルもしくは砂利等の中に埋めて使います。
基本的にはカリウムや微量元素をメインに含有したものが多いようです。
メリットとしては根からの養分吸収の多い水草にとても有効であることです。
前景草やブリクサショートリーフなどはその好例でしょう。
またその効果が2~3か月持続することもメリットといえます。
逆にデメリットといえば最初に入れすぎてしまうと後でどうにもならなくなることです。
一度埋めてしまった固形肥料は取り出すことがほぼ出来ません。
液体肥料のメリット・デメリット
一番のメリットは水草の様子を見ながら添加量の加減が出来ることでしょう。
施肥の中で一番気を付けたいのは必要以上に添加してしまうことです。
多すぎる栄養はコケや藻類の発生に繋がりますし、逆に水草自体の調子を崩させてしまう原因にもなります。
何リットルに対して何プッシュといった使い方の液肥を使えば必要以上に添加してしまうことは防げるでしょう。
また狙った栄養素だけを添加出来るのもメリットです。
前述のように赤系の水草をさらに赤くしたい場合には鉄分のみの液肥を添加するといった使い方が出来ます。
デメリットは固形肥料と比べて若干コストがかかることです。
施肥の仕方と注意点
施肥の基本はカリウムと微量元素が中心
人為的に追加しなければ水槽内に供給されないカリウムが施肥の中心になります。
カリウムが含まれた固形肥料もしくはカリウム単体の液体肥料か総合液体肥料を使用します。
液肥に関しては出来ればカリウム単体で添加できるものを用意したほうが後々便利です。
コケや藻類の発生状況によってはカリウムだけの添加に絞りたい場面があるからです。
そこに微量元素を足してあげる感じになります。
微量元素を含んだ総合液肥でもよいのですが、やはり単体で添加出来るものの方がおすすめです。
とにかく与え過ぎに注意する
一番気を付けたいポイントは肥料の与え過ぎです。
水草の調子が悪いとか全然育ってくれないといった状況で栄養不足を疑いたくなる気持ちはわかりますが、そういった場合は先ず照明やco2、水質や水温に起因していることが多いです。
ですのでそちらをよくよく見返して、特に問題が無さそうであれば肥料の量を調節するのがよいでしょう。
何度も繰り返しますが、与え過ぎによるデメリットの方が断然大きいです。
具体的な使用量について
例えば有名な外国製の固形肥料で規定の使用量を守ると、入れすぎな場合があります。
これは日本の水道水と外国の水道水の「水の硬さ=硬度」の違いに起因します。
外国は日本に比べて硬度が高く、すなわちミネラル分が多く含まれているということになります。
詳細は省きますが、豊富なミネラル分に拮抗するために多くのカリウムが必要となり規定量が多いのだと思われます。
固形肥料は後で足すことも出来ますので少なめから使用して様子を見た方が無難です。
液体肥料に関しても規定量を守ると多くの場合入れ過ぎであると感じます。
例えば葉からの栄養吸収量が多い有茎草が水槽内にこれでもかと繁茂しているような状態であれば規定量でもOKです。
一方であまり葉からの吸収が多くない前景草だけのレイアウトや、そもそも栄養をあまり必要としないミクロソリウムやボルビティスなどの陰性水草中心のレイアウトでは規定量では過剰になってしまいます。
3分の1~半分くらいの量から始めて、様子を見ながら調節するのがベターです。
思っているよりも市販の液肥は成分が濃いようです。
そして、もしアオミドロや藻類が大量に発生した場合は添加は一時ストップします。
そういう場合は明らかに水槽内が栄養過多である証拠です。
足りない栄養素を見極めて添加を調整することによってそれらコケなどを消すことも出来なくはないですが慣れないうちは止めておいた方が良いでしょう。
おすすめの肥料
テトラ・イニシャルスティック
こちらは通称「イ二棒」とも呼ばれる有名な固形肥料です。
立ち上げ時にソイルや砂利の中に埋設して使用します。
成分としてはカリウムが主なようです。
先ほど触れたように規定量では少し多い気がしますので少なめから始めると良いでしょう。
徐々に溶け出して2~3か月の間効果を持続します。
その後はピンセットで摘まんでソイルや砂利の中に差し込んで追肥してあげます。
細くて小さいので草が繁茂していても作業がしやすくおすすめの固形肥料です。
ADA・グリーンブライティシリーズ
ADAの液体肥料であるグリーンブライティシリーズ。
こちらは各栄養素が単体で添加できるとても有難い液体肥料です。
ニュートラルK(カリウム)・ニトロ(窒素)・ミネラル(微量元素)・アイアン(鉄)の4本が基本です。
こちらのニュートラルKは硬度を上昇させないので安心して使用できます。
ミネラルに関しても必要な微量元素を網羅しており、上記の2本で十分水草を育成出来ます。
必要に応じてニトロとアイアンをさらに添加します。
窒素が単体で添加出来る液肥は珍しく大変重宝します。
難点はADA特約店でないと手に入れられないことでしょうか。
通販も無いので直接お店で購入する必要があります。
トロピカ・茶液
こちらはデンマークの世界的メーカー、トロピカから発売されている液体肥料です。
窒素・リンを含んでいない「茶液」と両者を含んでいる「緑液」があります。
その中でも使い易いのは「茶液」です。
コケの原因になる窒素・リン以外の必要栄養素をしっかりと含んでいますので健康的な水草の育成が期待できます。
デメリットは添加量が把握しにくいこと。
100リットルあたりに週に約5プッシュ(1プッシュ約2ml)とあります。
その日に必要な分だけを添加するのが液肥の理想ですので、私は日割りで計算してスポイトで施肥したり、ワンプッシュが1mlのボトルに移し替えたりして使用しています。
ちなみに理由は分かりませんが今現在、通販などで手に入れることが出来ないようです。
店頭ではまだ見かけることがあります。
リーフ・プランツグリーン
ペット用品大手のチャームさんで販売している液体肥料です。
こちらは窒素・リンも含んだ総合液肥です。
成分表によるとカリウムとほぼ同量の窒素とリンが入っているため、極端に熱帯魚が少ない水槽などには効果的だと思います。
私はこの肥料をグリーンウォーターの維持用に使用しています。
園芸肥料と違い生体がいても安心だからです。
グリーンウォーターが若干薄くなってきたと思ったら少量を足します。
最後に
水草を育成する上で一番難解なのが肥料です。
かく言う私もまだまだ勉強不足なのですが、重要なのは以下の2点に尽きると思います。
ココがポイント
- あくまでもその他の必要な育成条件が満たされた上で、その補助的な役割として与えること。
- 規定量よりも少量から添加を始めて決して与え過ぎないこと。
栄養は不足するよりも過剰の影響の方がはるかに大きいです。
是非かんたん育成論の照明編と水質編をご参考にしていただきながら、肥料についてもお考えいただければと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました!